職業教育と社会保障

最近、就職氷河期の世代に関する話題、年金に関する話題に触れる機会が増えている。

就職氷河期世代の多くは新卒で就職できず、正規従業員になれないまま、40代になった。

日本企業によるOJTという世界最強の職業教育を受講する機会を失ったからだ。

将来、生活保護受給者になる可能性すら高い。とてつもない社会保障費の増加要因だ。

だからと言って、企業のOJTに頼った発想による、「採用に影響を与えるような不景気は良くない」、「年度の一斉採用を止めるべき」という一部の議論には与しない。

この国の悪いのは結果の平等を求めすぎること。生活保護を充実させるより、そうならないように職業教育を助ける方が、国民負担の観点からも相対的に効率的で、機会の公平が保たれる。

筆者は、職業教育の担い手は、本来、企業ではなく、公的部門の役割と考えている。

職業教育をしっかり位置付けた、高等教育制度の立て直しが必要であると考えている。

公教育を再度強化するほうが、先行きの社会保障費を増やすよりもよほど効果的な政策投資だ。

しかし、そのようなことには時間がかかる。前回述べたように、大学だって既得利権を離したくないのだ。

つなぎとして、勤務する企業でもない、大学院でもない、実践的な外部人事研修の高度化が必要とされる。そこには大胆な公的補助があっても良い。

残念ながら、文科省や厚労省のような既得権にがんじがらめの行政主体が行う補助金政策が効果的であったことは殆どない。かつて厚労省の補助金対象となる失業者向けの技能研修には、筆者の勤務していた会社を見学するというカリキュラム?があった。何を学ぶのだろう?


基礎教養教育と、直接的な技能研修と、高度な職業教育の区別がついていないのだ。

それでも、この分野においては、OJTに頼っていなかった海外の手法が既に数多く取り入れられており、長年、大手企業の研修を担当してきた優れた人材も参入している。

実績につれて受講者の目線も上がってきている。

職業教育の「安かろう、悪かろう」は存在しない。


<文・金融、経営管理アドバイザー 博雅>